工場をマネージメントする上で原価を理解する事が重要ですが、経理上で使われている一般的な原価の考え方では、直接のマネージメントには利用出来ないため工場などのマネージメントに使える原価の考え方をまとめました。
工場の原価とは
一般的な製造原価の考え方
経理上の製造原価の考え方としては、
当期の製造原価=前期末棚卸し高+当期製造費用-当期期末棚卸し高
となっています。
また製造費用としては、材料費、労務費、経費の3つに分類するのが一般的です。また、経理上では、次の8つに分類するのが一般的です。
総原価 | 製造原価 | 製造直接費 | 直接材料費 |
直接労務費 | |||
直接経費 | |||
製造間接費 | 間接材料費 | ||
間接労務費 | |||
間接経費 | |||
営業費 | 販売費 | ||
一般管理費 |
製造直接費
売り上げによつて変動する材料費、労務費および経費の事をいいます。
直接材料費
売上げとともに変動する、仕入れ材料の費用
直接労務費
売上げに変動する労務費、作業費
直接経費
外注加工費など直接、製品にかかった経費です。
製造間接費
売上げには直接変動しないが発生する固定費
間接材料費
売上げに変動しないが製造に必要な潤滑油、洗浄剤、離型剤のようなもの
間接労務費
管理者、事務作業員、技術者、生産管理、品質管理などの労務費
間接経費
間接労務作業者に係わる経費や減価償却費、電気代などが入る。
販売費・一般管理費
直接費、間接費に入らないその他の経費を入れる。
このあたりが一般的に経理上必要な分類の仕方でしょうか。最終的に損益計算書や貸借対照表はつくれても、マネージメントにどう繋げるかの判断材料としては、物足りない結果につながります。
工場をマネージメントする上で必要な3つの原価
直接原価
一般的には直接原価とも呼ばれるものですが、単純に言うと
加工原価=材料費+直接労務費
経理上では、材料費を直接、間接と按分する事がありますが、その必要は無いと考えます。現場で生産に必要なものは、すべて材料費として計上した方が判りやすいという考えです。特に100個の生産に必ず必要となる、潤滑油や離型剤といった現場消耗品は材料費として計上した方が判りやすいです。
また必要なものとしては、顧客毎や商品毎に材料費や労務費を按分する事が重要です。どの顧客向けの商品が利益が出ているのか、どの商品が赤字となっているのかが判るからです。
また、よく言われる限界利益はこの部分がカバー出来ていれば、受注しても良いという考えになります。
実際原価(総原価)
直接費+間接費+一般経費すべての経費を入れた総原価の事をここでは実際原価や実原価と呼びます。
この実原価の中には、直接原価ももちろん含みますが、間接費として、間接労務費(営業、事務員、技術員、品質管理員)、電気代、減価償却費、工場の家賃などが非常に大きい経費となり、水道光熱費、消耗品、雑費など一般的な経費も含みます。
大事なのは、
売上げ-実際原価>0
で有る事。つまり黒字となっている事が重要です。そのため単純に
売上げ価格>直接費+利益
の考え方から
利益>間接経費
の考え方が重要になります。つまり間接経費によって必要な利益率を計算する事が出来ます。
見積もり原価
見積もりをする場合、製品によってもちろん内容が異なりますが、当然ながら
材料費+加工費+利益・管理費
の組み合わせによって計算されます。特に
加工費=マシンチャージ(時間賃率)×加工時間
で計算されますので、上記のように直接原価、間接原価などをまとめておくと簡単に時間賃率(マシンチャージ)などを計算する事が出来ます。3ヶ月毎に時間チャージ等を見直す必要があります。
まとめ
工場の原価については、直接原価、実際原価、見積もり原価この3つの原価を管理する事でPDCAをまわす事で、原価を常時把握出来るため、健全な工場のマネージメントが可能になります。
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