利益の出る工場内の改善方法を定着させ社内を活性化し、Webでターゲティングを考えた仕事作りを行う

第5話:消えた改善効果と隠された20トンの闇

第5話:消えた改善効果と隠された20トンの闇

5000万の赤字だった町の塗装工場を黒字化した7つの方法ー5

第4話:偽装請負の罠と、逃げ場のない出向命令

子会社化に伴い、決算の仕組みが切り替わった。当時の赤字幅は毎月数百万円。この出血を止めるべく、本格的な改善活動が幕を開けた。
最大の標的は、全不良の元凶である「塗装工程」だ。
当時の平均歩留まりは、わずか六〇%。私は業務担当から原価明細を受け取り、緻密な予測を立てた。「歩留まりを八〇%まで引き上げれば、確実に黒字転換できるはずだ」と。
技術者として、やれることは全てやった。塗装条件の徹底的な見直し、タクトタイムの短縮。死に物狂いで現場を叩き直し、時間はかかったが、ついに良品率は八五%近くまで到達した。
「勝った」
私は確信を持って、最新の原価明細を要求した。だが、返ってきた数字を見て、私は自分の目を疑った。
原価が、一〇%も変化していない。
製造業において、歩留まりが二〇ポイント以上も向上すれば、原価は劇的に下がるのが道理だ。それなのに、数字は微動だにしない。現場の汗が、デジタルの帳簿に吸い込まれて消えている。
「……何かが、根本的におかしい」
得体の知れない恐怖が背中を走ったが、その正体はすぐには分からなかった。
そんな折、あの「事件」が発覚した。
外部倉庫に隠されていた、約二十トンものデッドストックの発見である。
帳簿には一切記載がない。だが、それを隠し置くための賃料だけは毎月、密かに支払われていた。私は即座に全量を自社工場へ戻させた。なぜ隠されていたのか、誰の指示だったのか。そんな追及をする暇はなかった。目の前にあるのは、二十トンという圧倒的な「負の遺産」だ。
産廃業者に見積もりを取ると、処理費用だけで百万円。背筋が凍った。
私は自分の立場を超えて動き回った。材料メーカーに無償引き取りを懇願したが、着色済みを理由に断られ、再生樹脂業者にも門前払いされた。
暗礁に乗り上げた時、一つの情報が舞い込んだ。「厚木にプラスチックの有価買取を行う業者がいる」
連絡を取ると、引き取り可能だという。一キロ千三百円で仕入れた材料が、引き取り価格はわずか五円。あまりの落差にショックを受けたが、百万円を払って捨てるよりは、一円でも経費の足しにする道を選んだ。
だが、この苦肉の策で出会った「有価買取」という仕組みは、後に工場の強力な武器となった。
分別の手間はかかるが、産廃として捨てていた廃塗料缶、塗装治具、そして塗料カス。これらを資源として売却するルートを確立したことで、数年後、年間百万円を超えていた産廃費用は、わずか五万円にまで圧縮されることになる。
しかし、この「二十トンの処理」は序の口に過ぎなかった。
私が直面していた「原価が変わらない謎」の正体は、さらに深い闇が待っていたのだった

 

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