自作の日報集計プログラムが動き出し、工場の「真実」が蓄積され始めた。
私が求めていたのは三つの変数——「製品ごとの材料使用量」「正確な生産時間」、そして「直行率」だ。特に、集計なくしては算出できない直行率は、人員配置と材料発注を最適化するための、生命線とも言える指標だった。
これらのデータが揃ったことで、工場の景色は一変した。
「なんとなく」で行われていた残業や手待ち時間は目に見えて減少し、霧に包まれていた現場の稼働が、鮮明な輪郭を持ち始めたのだ。
次に取り組んだのは、購買の正常化だった。
この工場には、「次月の分まで買っておく」「安くなるからまとめて発注する」という悪習が蔓延していた。あの二十トンのデッドストックは、まさにこうした「長期在庫を気にしない風土」が生み出したものだ。
私は、これらを一切禁止した。
「材料の購入は、使用する三日前までとする」
徹底した「当月購入・当月消費」。
これには昔ながらの従業員たちから悲鳴が上がった。「材料がなくて生産が止まったらどうするんだ」と。棚から消えていく在庫を見て、彼らは不安に震えていたが、私には確信があった。データに基づいた予測があれば、過剰な備蓄はただの「負債」でしかない。
結果、在庫量は当初の四分の一以下にまで激減した。
キャッシュは回り始め、倉庫には物理的な「余裕」が生まれた。かつての不安は、今や「昔はあんなに無駄に抱え込んでいたんだ」という笑い話に変わっている。
データで現場を制し、在庫の呪縛から逃れた私。
だが、そんな時集計データの中である違和感が見つかったのであった