ものづくり工場とDX化(工場のデジタル化すべき5つの項目)

ものづくり工場とDX化

“DX化”最近よく耳にする単語で、中小企業に取って必要な事なんですが、実際DX化とはどん事なんでしょうか。

DX化とは

DX化のDXはDigitalTransformationの略で、経済産業省によると、DX化の意味として”デジタル革命”としている。

またIoT、AI技術を取り入れる事で、現場の効率化や情報の共有化などを行う事で、経営判断のスピードアップ、自動化などによる効率化、仕入れ調達の効率化、そして品質の安定化など経営メリットが高い事が多い。

一方で、PCやタブレットなどのデジタル機器への不慣れによる抵抗感や、システム導入のための資金不足による足踏み状態など、DX化には数々の弊害が発生している。

ただ、大企業よりも人手不足の問題が多い中小企業こそ、DX(デジタル化)化に取り組む必要があります。

工場のDX化の方法

DX化を実施するために、一番必要なのは、経営者が何をやりたいのかを明確にする事が重要です。もちろん何が出来るかを事前に知っておく事も必要ですが。ここでは、工場が行うべきデジタル化について列記していきます。

作業マニュアルのデジタル化

昨今、現場で使用する作業マニュアルは、WordやExcelといったもので作られるようになっています。例えばISO9001を認証取得している企業であれば、マニュアルを印刷して、原本ファイルに保管していたりしてないでしょうか?よくある事なんですが、現場では最新版のマニュアルを利用しているのに原本ファイルにはとじられていないみたいな事が結構あります。

そのためクラウド上に電子ファイルとして作業マニュアルを保管するような事がオススメします。それによって編集、更新もクラウド上で行い、タブレットでそのマニュアルを見たり、印刷をして使用したりと、原本管理、最新版管理を意図せずと情報共有が一遍に出来るようになります。

注意:ISO9001でマニュアルってファイルにとじないといけないんじゃないのと思い込んでいる人が大勢いますが、そんな事はありません。データー上での管理でも可能なんです。ただ、マニュアル文書の決裁等の関係から、電子決済システムは必須になります。

作業結果(日報)のデジタル化

作業者が作業が終わった後に、日報を書くというのは、一般的に行われている行為ですが、いまだに大多数が手書き日報(アナログの記録)を利用しています。そんな日報をデジタル化するのは大きな変革です。手書きの日報はそもそもデーター化は困難です。多分手書きの日報を利用している工場ではデーターを抽出して分析をするなんて事は殆ど行われていないのではないでしょうか?

また、PCなどを利用して手書き日報をデーター化する行為はデーターの利用という点では一定の評価をしますが、PCへの入力作業に時間が取られるといったデメリットも存在しています。

そのため未来型の日報はタブレット等のタッチパネルによって入力をする事でスムーズに日報データーをデジタル化する事が出来、入力作業等の省人化をする事ができます。

ただ、日報など作業の記録をデーター化する事は目的ではありません。そのデーターを分析、解析をする事が目的でそれによって価値が生まれるのです。

そこで記録に残すべきデジタルデーターについて下記に明記します。

商品毎の総作業時間の把握

商品毎の総作業時間を取得する事で、商品毎の実原価として労務費の算出が出来るようになります。一般的に賃率から計算をしてしまう人がいますが、それは想定原価であって実原価ではありません。この総作業時間を算出する事で、人員計画が容易に出来るようになります。実は原価は日々変化します。これは勤務時間と作業時間の比率が人員計画によって大きく変動する事によるものでここが管理すべき大きなポイントになります。

作業者毎の作業時間の把握

作業者が実際、お金を生む仕事をしている時間は、実は勤務時間とイコールではありません、過去に調査した時に平均すると、お金を生む作業をしている時間は勤務時間の50~60%程度でした。コストに必要な情報は、この実際お金を生む作業をしている時間です。ここを算出しないと、時間あたりのコストを弾く事ができません。

生産に使用された材料の把握

作業日報には、消費された材料の情報が明記されています。これを集計する事で、その製品を生産するために消費した材料を集計する事が出来ます。それによって材料コストを算出する事が出来ます。ただ、重要なのは消費量よりもさらに重要なのは購入量になります。消費量をもとに購入量は最小化する事が重要となっています。

工場従業員の評価

デジタル化は、結果がそのまま反映されます。見てくれや報告の仕方など、パフォーマンスに影響されませんので、実際工場の中で戦力となっている人材に対する正しい評価をする事ができます。

勤務の実態、生産脳呂など日報ひとつとっても様々なデーターの抽出が可能です。これらの実データーで従業員の評価をする事が重要となっています。

ベテラン技術のデジタル化(職人技の継承)

ここは、かなりハードルの高い部分ですが、この部分が、DX化(デジタル化)にはキモの部分かと思います。マシーンであってもちょっとした使い方で、機械の寿命を伸ばしたり、不具合が起きない設定になっていたりと長年の経験によって積み上がってきたノウハウがあります。このノウハウは、個人のもので、会社のものでは無い場合が多く、その職人が辞めてしまうと、今まで問題無くつくられていた、製品がつくれなくなってしまう。

そんな問題を無くすために、作業に必要なものをデーター化する事で、誰でも同じ品質のものができるようにしていく。ただ、職人のちょっとした気遣いや調整をデーター化させるのは簡単では無いが、今後は必須で行う必要があります。

生産スケジュールのデジタル化

工場の生産スケジュールは簡単に見えて非常に複雑です。何故ならば多数の商品、多数のリソースをすべて考慮に入れて、生産スケジュールを決定しなければならないからです。また、生産は想定通りに進むとは限りません。その時その時にフレキシブルな対応をしなければなりません。

また仕掛かり在庫を大量な持つなど、余裕を持たせすぎれば、キャッシュフローに影響を及ぼしますし、一方で在庫を持たない体制であれば、工程が止まってしまったり、納期遅れを及ぼしたりしてしまいます。

そのため生産管理の仕事は非常に重要です。そのため工場の中でも優秀な人材が担当する事が多いのですが、それでも対応に限界があります。スケジュールを作るだけで、3日も4日もかかってしまうのにトラブルがあるとまた、計画を作り直す必要があったりとかが多くでみられます。

そのため、AI技術を利用した、DX化は急務と考えます。どのように工程を組んでいくのかも、職人技のひとつと言えるでしょう。

まとめ

今回代表的なDX化に対するメリットとデメリットを紹介させていただきました。

あなたがDX化に興味をもったのであれば、最初に行う事は、どんな情報をアウトプットしたいか決める事が重要です。それによってどんな事から始めればよいのかが判ります。そして、段階的に実施する事で、最小の資金でDX化が対応出来る事でしょう。

まずは必要な処からDX化をはじめてみましょう。

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参考資料

これからの工場経営のススメ ものづくり工場とAI 5つの展望

DX化とは?DX化の必要性と推進のポイントについて解説する

 

小島 淳