工場に取って在庫は、経営的に諸刃の剣でもあると私は考えます。
日本の経理システム上、在庫は資産という考え方があります。決済書などを作った事がある人であれば、誰でも判るかと思いますが、売上げに在庫費用が足されたものが、資産として扱えることで、大量に在庫をする事で会社の成績が良いように見えますが、その在庫が販売が出来なければ、(現金化できないと)会社として倒産してしまうなんて事もあるのです。
そのため在庫が発生しやすい、工場は、特に注意が必要で、最小化する努力が必要なのです。
私が工場の経営に携わったのは2006年の8月です。もともと技術者という立場で、当時赤字であった工場の技術としての立場で改善活動をしていました。
当初、工場の赤字の原因が、「大量の不良」と思われていたので、技術という立場で不良を減らす活動をしていました。不良率を減らす事は成功していたが、工場の赤字の脱却には未達でした。
そんな時に、前任者が急遽退任した事で、自分が工場長に就任する事になり、そこから工場全体を見る事で、本当の改善がスタートしました。
ただ就任直後は、技術出身でもあり、帳簿の付け方も判らないですし、決算書の仕組みすら判らない状態でした。
そんな自分が、経営の知識を得る事で、真の問題が徐々に判明するのでした。
法律的には、低価法や原価法といった在庫金額を評価する方法がありますが、工場に必ず存在する、半製品や仕掛かりについては、明確に決まりが無いという事が判明しました。
これは当時、経理の担当者に聞いた話ですが、仕掛かりや半製品といったものについては、明確な決まりが無いのです。
しかし問題はここにありました。
明確な決まりが無い、しかも親会社が商社であるという事で、製造工場での仕掛かりや半製品に対する在庫の正しい評価方法が判っていなかった事が大きな問題になっていました。
何かというと、半製品の評価金額が 何故か「売価」計上となっていたのです。
もともと、グループ全体が大きい企業でもあり、工場でも月次決算をきちんとしているのですが、半製品、仕掛かりの評価金額が、販売単価になっている事で、おかしな事が発生していたのです。
それは経理上は在庫の増減は資産の増加を表し、決算上は、利益が出ているかのようになるからです。販売していないのに利益が先行して計上されるので当然ですが。
これは生産中は在庫が増加する事で利益が出て、生産中には実際多かれ少なかれ仕損が発生するので、商品を出荷して売上げが確定すると、想定原価であっても赤字が発生するというおかしな状態が発生する状態でした。
製造に携わっている人であれば、多分笑ってしまうような状態ですが、自分の就任した工場では自分が改善をするまで6年の長い期間そのような管理をしていました。こによって現実が誤魔化されていました。
自分は、工場内の在庫評価をに対するルールをつくりました。実際これが究極に正しいとは思っていなかったですが、工場内では管理がしやすいルールとなりました。
プラスチックへの塗装ほしている工場でしたので、プラスチックの材料や塗料は無形材料として存在していますが、無形材料は開封したら消費したとみなす事にしました。
未開封で、倉庫にある間は、在庫として計上しますが、作業現場に払い出して開封をしたら消費をしたという事にしました。実際塗料や樹脂材料などは、専用のものが多く、開封したら長期保存は出来ません。場合によっては廃棄する必要があるものです。そのため帳簿上では消費したという事にしました。ただ現場の簿外棚帳には載っている状態です。
有形素材については、数量が数えられます。ただ出荷が完了するまで資産価値は上げたくないため、基本は先入先出法を採用します。
在庫が倉庫にある内は、材料在庫として、現場に入ると仕掛かり在庫として帳簿にのりますが、あくまでも仕入れ価格がベースとなります。
現場で作業が進むと、評価額は変わります、その時は(仕入れ価格+実際原価)になります。
ここでいう実際原価は、その商品を生産した時の、作業時間をもとに按分計算した実際原価で、製品別損益から算出した実際の原価を付与いたします。工程が進むともちろんこの原価部分は変化します。
また完成品までいった製品は完成品在庫として管理費・利益除きの在庫費用で計上します。これで出荷ととも利益が出るような形になります。このような管理をすると、工程内で仕損が発生しても、原価内で生産が出来ているなら黒字計上になりますし、角度の違った方面から確認をしても問題が無い方法でした。
製造業にとって在庫金額は実はいかようにもできてしまいます。大きくみせる事も小さくみせる事は出来るものです。
ただ、経営を行っているものの大半は、自分の会社を大きく見せたい傾向があるのは言うまでもありません。ただ個人的な意見では、管理が楽になるため、小さくみせた方が良いのでは無いかと思いました。ただ共通しているのは、すべてにエビデンスが存在して、繋がって管理ができるようにしなけれはあまり意味が無いという事です。
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